今までインドの経済・政治・財政と為替の見通しを分析してきました。
【インド株式投資】経済成長加速で魅力度が高まるインド株式市場の魅力を徹底検証!
今回はインドの株式市場は市場全体として個別銘柄単位としてどうなのか、
という点についていよいよ切り込んでいきたいと思います。
インドの政治・経済・財政のおさらい
まずインドの経済・財政と政治のおさらいをしていきたいと思います。
政治は安定政権であるモディ首相のもと、規制緩和や投資受入れの政策のほか、
高額紙幣取引の禁止といった将来的に間違いなくプラスになる政策を実施しています。
経済はいわずもがなですが、世界最大の経済と優秀な人材市場があいまって、
今後最も成長が期待できる新興国市場の一つになっています。
一方、財政は課税基盤がしっかりしていない為、国民からしっかりと税を徴収できておらず、
新興国の中では高いGDP比債務比率70%となっています。
新興国の国債利回りは高いので利払い費用に財政がひっ迫し、
必要なインフラ投資が出来ないという点が懸念されています。
しかし、モディ政権によって課税基盤は強化されているので、財政問題は次第に鎮静化していくでしょう。
インドの為替のおさらい
それではインドの為替についておさらいしていきましょう。
インドの通貨ルピーはリーマンショック以降下落基調でしたが、直近はインドの中央銀行の利上げや、
国際収支の改善もあり安定して推移しています。
インド株の市場平均SENSEX指数をチャートと指標から分析
まずは指数の動きからみていきましょう。
インド株指数であるSENSEX指数は堅調な経済、安定した政治体制によって、
この10年間で約150%の上昇と非常に堅調な動きをしました。
因みにSENSEX指数は1875年に設立されたボンベイ証券取引所に上場されている銘柄の中から30銘柄を厳選して指数を構成しております。
金融や情報通信の比率、財閥の比率が高いという特徴があります。
以下にTOPIXと値動きを比べてみました。
TOPIX(赤)が沈む局面が何度もあるのに対して、SENSEX(青)は常に堅調な値動きをしていることが分かりますね。
特に2018年末からはTOPIX(赤)と比べるとSENSEX(青)の堅調さが際立ちますね。

参照:Yahoo Finance
結果としてPERは22倍(日本は14倍)と将来の成長を織り込んだ割高水準となっています。
長期的な視点では非常に魅力的なのは間違いありません。
しかし、現時点で投資先として魅力的な水準ではなさそうですね。
インド株市場平均に連動するETFや投資信託に投資する際の注意点
市場平均に連動するETFに投資をするというのが有効な選択肢になります。
ETFについては以前『ETFをわかりやすく解説』で詳しく説明しております。
今回は説明は割愛しますが、簡単にいうと市場が開いてるときに株式と同様に常時取引できる特殊な投資信託ということです。
私もインド経済の今後の発展には一早く目をつけていました。
2016年時点で証券コード1678のインド株式指数上場投信に投資を行いました。
しかし、その後SENSEX指数が30%以上上昇する中において、わずか15%程度の上昇率に留まりました。
以下はセンセックス指数(青)と1678(赤)の値動きの乖離です。
連動を目指しているにも関わらず、過去10年間のパフォーマンスでは2倍以上の差が出ています。
後述するADRという仕組みを用いて指数を構成していることも要因にあると考えられます。
実際の指数との連動率の低さには気を付けたほうがよいでしょう。
<インド投信・ETFマップ>大国の成長をきちんと取り込むおすすめのファンドを搜索。
また基本的にインドの投資信託については指数に対してプラスのリターンを追求する、
アクティブ型の投資信託です。
インドは注目の新興国ということもあり各運用会社から非常に多くの投資信託が販売されています。
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インド株のおすすめ個別銘柄を取引する際の注意点ーADRって?ー
まず原則としてなのですが、インドで上場されているインドの個別銘柄を直接取引することはできません。
しかしADRという仕組みを用いることによって取引が可能となります。
ADRはAmerican Depositary Receiptの略で日本語では米国預託証券と呼ばれています。
ADRの仕組みはまず米国の銀行が、インド市場で発行されている株式を取得します。
購入後は預かり証券を発行して米国市場に上場するという仕組みです。
その為、我々投資家は米国市場に上場されている預託証券を購入することにより、
間接的にではありますがインドの個別株に投資することが出来ます。
ADRを用いて取引する場合の注意点
ただ当然アメリカを仲介にかんでいるので、通常の株式投資に比べて高い手数料がかかります。
米国株式等の取引にかかる費用等
米国株式等の委託手数料は、26.25米ドル/1回(1,000株まで)がかかります。1回の取引が1,000株超の場合は1株ごとに2.1米セント追加されます。売却時は通常の手数料に加え、SEC Fee(米国現地証券取引所手数料)が約定代金1米ドルあたり0.0000192米ドル(米セント未満切り上げ)。(引用:楽天証券)
日本株だと一回500円なのに、ADRだとまず現時点のUSDJPYレート110円で換算して約3000円かかります。
また基本的には現地の値動きに連動するように設計されています。
しかし、需給によっては現地のレートと乖離することがあるという点も難点ではあります。
ADRを用いてインド株を取引きできる証券会社ー楽天・SBI・マネックス証券で可能ー
先程説明したADRという仕組みを用いてインド株を取引きできる証券界者は楽天・SBI・マネックス証券があります。
楽天証券を例にインド株のADRを探す方法を紹介します。
ADRの欄にチェックをつけた後に、本社所在地をインドにしあす。
検索ボタンをおすと、以下の銘柄が表示されます。
ご覧頂ければわかる通り、ADRなので全ての銘柄に投資をすることはできません。
おすすめインド株銘柄①:不振からの立ち直りに期待できる『タタ・モーターズ』
ADRを一番取り扱っているのは楽天証券です。
やはり一番おすすめできるのはインドのTOYOTAともいえるタタ・モーターズですね。
インドは経済水準的にも今後所得向上によって、内需の需要も高まることが期待される為、
今後も引き続き期待できますね。
しかし、2019年3月期は業績不振でまさかの純損失が発生という悲惨な事態となっています。
ただ売上自体は堅調にい右肩上がりに推移していっています。
年度 | Mar-17 | Mar-18 | Mar-19 | Mar-20 |
売上高 | 2,656,495.10 | 2,882,951.10 | 2,993,662.40 | 2,817,458.88 |
営業利益 | 133,287.70 | 150,242.20 | -255,607.60 | -- |
経常利益 | 94,598.80 | 103,740.10 | -317,553.10 | -- |
当期利益 | 58,539.30 | 65,040.70 | -293,142.70 | 24,036.44 |
EPS(INR) | 86.2 | 102.61 | -431.62 | 20.2 |
PER(倍) | 29.56 | 17.9 | -- | 42.61 |
業績不振を受けて元々軟調だった株価に下落の拍車がかかりました。
しかし、先ほども申し上げた通り着実に売上高は伸長しています。
さらに今後、インドでは自動車を購買することができる中間層が飛躍的に上昇していきます。
以下は2000年と2017年のインドの世帯別の所得分布の変化です。
中間層の拡大は今後も上昇していくことは確実なので自動車の需要はうなぎ登りとなっていきます。
現在の不調に陥っている段階で仕込むことができれば将来的に大きな利益を手にすることができる銘柄といえるでしょう。
おすすめインド株銘柄②:インド経済の成長と共に歩む『HDFCバンク』
日本の高度経済成長の例があるとうに発展途上国において金融機関は非常に重要な役割を果たします。
結果として発展とともに銀行も右肩上がりに上昇していきます。
銀行は経済の心臓の役割を果たしますので、成長期の経済を有する国では同じく心臓も強くなっていきます。
HDFCバンクは商業銀行と投資銀行をカバーするインドの総合銀行となっています。
業績は堅調で以下の通り右肩上がりを実現しています。
年度 | Mar-17 | Mar-18 | Mar-19 |
経常収益 | 725,554.30 | 843,465.30 | 1,041,714.90 |
当期利益 | 140,529.80 | 178,514.90 | 220,103.80 |
EPS(INR) | 82.85 | 103.77 | 123.19 |
PER(倍) | 32.39 | 33.95 | 34.09 |
結果として以下の通り過去10年株価は右肩上がりで推移しています。
しかし、インドの株価指数自体が割高水準にあるのと同様、HDFCバンクも割高水準となっています。
一旦、調整をするのを待ってから仕込んだ方がよいとみることもできます。
インド株式投資の総括
インドの株式市場のは高い経済成長力と安定的な政治に後押しされて、10年間世界株式市場の中でスーパースター的な動きをしました。
誰の目からみても魅力的であるが故に、現在では市場全体としてみると将来への期待を織り込み割高水準となっています。
市場全体に投資をするETFや投資信託は長期的にみれば良好な結果を残すと見込まれますが、
実際のインド株式市場平均と成績が乖離するのが大きな問題点です。
インドの個別銘柄は直接インド市場からは投資できませんが、ADRという仕組みを用いて、
米国市場を通じて日本の証券会社から取引することが出来ます。
現在最も期待できる銘柄としては一時的な不調に陥っているタタモーターズが挙げられます。
おすすめの新興国株投資手法
三回にわたりインドの株式投資について見てきましたが、新興国株投資は様々なリスクがあり、
また確りとファンダメンタル分析を行わないと痛い目を見る可能性が高いです。
また、狙う市場を決めたとしても銘柄分析は日本株と異なり決算書も英語で馴染みもない企業が多いので、
本当に有望な銘柄なのか自信をもって投資するのが難しいです。
しかし、現在筆者が注目しているインドの隣国のバングラデシュの不動産は異なります。
日本の高度経済成長期の不動産が毎年上昇しつづけたのを思い返してみてください。(若い方は無理でしょうが。。)
新興国の不動産では所得の向上と首都圏への流入で特に首都圏の土地の価格は毎年何十%も上昇します。
特にバングラデシュは土地に投資を行うことができるため、現地人と同じく土地の値上がり益を享受することができます。
今回は割愛しますが、以下で何故今筆者がバングラデシュ不動産に着目し投資しているのかをお伝えしています。
新興国投資で大きな利益を得たい方は是非ともご覧いただければと思います!