前回中国経済の実態が既に崩壊しているものの、政府によって延命させられている状態とお伝えしました。
また、現在中国が公表されているGDPベースで考えても債務水準は日本のバブル期の水準であり危険であると指摘しました。
しかし、本当に現在中国が発表しているGDPの数値は真実なのでしょうか?
日本のように確りとした統計が行われている国の数値は信用に値しますが、
嘘で塗り固められた国である中国の数値を鵜呑みにするべきではないと思います。
実際日本でも元財務省官僚の高橋洋一氏が『中国GDPの大嘘』という本を出版し、
発売後即重版となるなど日本でも関心の高い話題となっています。
ということで今回は中国のGDP統計は本当なのか?という点に焦点をあけて書いていきたいと思います。
ソ連のGDPは大嘘だった 共産圏における統計の危うさ
中国が毛沢東による1949年の建国当初から手本としてきたのは、一早く共産主義を確立していた大国ソビエト連邦でした。
ソ連から一万人の顧問が中国を訪れて産業育成の方法を始めとして統計システムまで持ち込まれました。
しかし、そもそもソ連の統計が大嘘であったということがソ連崩壊と同時に明らかになったのです。
実はソ連は崩壊するまでは世界第二位のGDPということになってたのですが、
崩壊後に明らかになったGDPは発表の半分の規模でしかなかったのです。
また1928年から1985年の国民所得の伸びは実際には6.5倍にしかなっていなかったにも関わらず、
90倍に拡大していると誇大にも程がある統計を出していたのです。
しかし、
非常に巧妙につくられていたみたいでノーベル経済学賞を受賞したサミュエルソンでするソ連の統計をみて『ソ連は成長している』と結論付けてしまっていました。
結局ソ連にしても中国にしても一党独裁で国家を収めている国では、共産党のおかげで国が成長していると国民を騙さないといけないのです。
騙さないと、不満が爆発して革命が起き一党独裁政権が瓦解してしまいますからね。
ただ嘘の統計をねつ造し続けても国家は瓦解します。
国家政策というのは正しい統計をもとに練られなければいけないのに、統計そのものが偽物であれば正しい戦略を練ることなどできようはずもないのですから。
師であるソ連から学んだ生徒である中国の統計も嘘であると考えています。
それでは私が中国のGDP統計も同様に嘘であるという理由について列記していきたいと思います。
中国GDPが嘘と思う根拠①:中国共産党の体制
中国共産党で出世をしていく為には地方の共産党政権で成果を出していかなければいけません。
現在の国家主席である習近平も、もともとは浙江省で頭角を現し上海市での政治手腕を買われて中央にのし上がっていきました。
その為地方の長達は自分たちが出世する為にGDPを水増しする傾向にあり、
中央が集計する前段階の資料がそもそも水増しされている可能性が非常に高いのです。
実際ロイターニュースや日経新聞でも水増しが行われていたことが発覚したことが報道されております。
中国国家統計局が20日発表した第4・四半期国内総生産(GDP)の伸びは、直近数四半期と不気味なほど一致。2016年通年の成長率は政府目標レンジのちょうど真ん中に収まった。
数日前には、遼寧省で経済統計の水増しが発覚。
中国では統計データの水増しがまん延しているため、中央政府当局者にでさえ、GDP統計を有益な情報というよりも政策シグナルとみなす姿が見受けられる。
(引用:ロイターニュース)
また、日経新聞からも以下のような記事がでています。
遼寧省は主力産業は鉄鋼などの重工業だが、中国経済の減速によるインフラ需要の低迷を受けて景気が低迷。16年1~9月はGDPがマイナス成長に陥った。地方官僚にとって、省経済の成長は自身の出世に直結する。こうした構造問題がでっち上げが常態化した背景にあるようだ。
(引用:日経新聞)
明るみにでたのは遼寧省だけですが、
構造的な問題が絡んでいるのでおそらくほぼ全部の地方で同様の水増しが行われているとみています。
中国GDPが嘘と思う根拠②:現並びに過去のNo.2による自白
現在の中国のトップは習近平国家主席ですが、第二位は首相の李克強さんです。
非常に人の好さそうな顔ですよね。
正直本来は彼が国家主席になる予定だったみたいですが、彼が国家主席になっていれば中国にも少しは好感がもてたとは思います。
今の習近平国家主席は欲の権化のような顔をされてますからね。
李克強氏が先程水増しが発覚した遼寧省党書記だった2007年当時に米国大使に対してオフレコという前提のもと以下のような発言をされています。
結局Wikiリークスによって公になってしまいますが...。
「中国の経済統計、指標は、まったく信用できない。遼寧省のGDP成長率も信用できない。
私が信用してチェックしているのは、わずか三つの統計数値だけ。その三つとは電力消費量、鉄道貨物輸送量、銀行融資額。
この三つの統計を見て、遼寧省の経済成長の本当のスピードを測ることが可能になる。他の中国の経済統計、とりわけGDPなどは、ただの『参考用数値』に過ぎない」
(引用:講談社)
この発言をもとに英エコノミスト紙が李克強指数という指標を作りました。
因みに李克強指数は中国の経済動向をみるのに有用とされていますが、近年はGDPとの乖離が激しくなってきています。
重厚長大の産業構造である中国において鉄道輸送量や融資残高、電力消費がマイナス圏の成長率なのに、
どうして6%以上の成長をしているということができるのでしょうか?
現在の首相も中国の統計を過去に疑問視しておりますが、江沢民時代の首相であった朱鎔基元も自虐的に以下のような発言をされています。
「何でも嘘、ニセモノでないものはペテン師だけ」
国家の中枢にいる人ですらも認める嘘で塗り固められた国が中華人民共和国という国家なのです。
中国GDPが嘘と思う根拠③:中国人民銀行役人の話
以前私の会社に中国の中央銀行PBOCの役人がやってきてヒアリングをしにきたことがあります。
その際役人が我々に日本の企業は当局に貿易の報告をしているのですか??
と謎の質問をしてきました。
当然貿易総量は税関に報告をおこなわないと当局は把握することが出来ません。
当然税関に報告を行っていますと回答したところPBOCの役人は非常に驚いておりました。
寧ろ我々としては驚いたことに驚愕していたわけですが・・・
果たしてGDPの純輸出(=輸出-輸入)項目はどのように集計しているのでしょうか???
貿易統計一つとっても、このように杜撰な管理を行っているわけですが、
中国の全体のGDP統計はどのように作成されているのか想像するのも恐ろしいですね。
結局中国GDPの実態は??『中国GDPの大嘘』での推計を参考にする
中国のGDP統計が信用できないことはほぼ共通認識であるのですが、では実際どれくらいなのかということについて考えていきたいと思います。
2012年に習近平が国家主席に就任した年に『中国の偉大な夢』とした2020年に2010年比で国民所得倍増計画を発表しました。
中国の現在のGDP成長率というのは、この2倍を達成するための逆算によって導かれている数値に過ぎないのです。
信用できない中国の統計でも、農業生産と工業生産のデータは比較的制度が高く集計されているといわれています。
計画経済推進のために建国当初からデータを取っていたのです。
しかし中国GDPの大嘘を執筆した元財務相官僚の高橋氏によると、この生産データとGDP統計の項目の中に明らかな差異が発生しているというのです。
農業および工業の2015年のGDP成長率を産業別のデータのなかから見ると、農林業に畜産と漁業を加えたところで3.6%、工業が6.0%の成長となっている。この業種別GDPのほかに、自動車、鉄鋼、電力といった主要二七の工業製品の生産量データも出される。
これらをチェックしてみると、2015年上半期に六%以上の成長を達成した製品は四製品のみ。さらに、13の工業製品は、伸び率がマイナスを記録している。
(引用:講談社)
このような差異を全て紐解いていった結果実際の中国のGDPは現在の3分の1程度であると推計しています。
すると12兆140億ドル (約1300兆円)の3分の1となり430兆円となり日本が依然としてGDP2位であるという結果を唱えています。
ソ連が2分の1なら中国は3分の1と規格外ですね。
流石に3分の1は行き過ぎだとしても数十%の水増しは行われているとみておいたほうがよいでしょう。
その場合現在既に対GDP比で200%ある企業の債務比率は一体何%になるのでしょう?
考えるだけで恐ろしいですね。